慢性関節リウマチは関節滑膜の慢性炎症を主病変とする原因不明の全身性疾患である。 関節を主座とするも、その原因は主に血管炎にある。
全体の男女比では女性が多い。 好発年齢は男女とも40〜50歳であるが、60歳以上では女性より男性の発症が多くなる。
病因は不明であるが、いくつかの要因が組み合わさった症候群である可能性が示唆されている。
女性に多く、妊娠により改善するため女性ホルモンが関与していると考えられている。
家族内発症や一卵性双生児での発症が高いことから遺伝的素因もあると考えられている。 主要組織適合抗原の中で最も疾患感受性の高いハプロタイプはHLA-DR4であり、なかでもDRβ鎖超可変部のアミノ 酸配列が病態と関連する。 β鎖においても特にDw4とDw14だけが本症で有意に増加しており、両者のアミノ酸配列の共通部分は奇しくも抗原 ペプチドが結合するβ鎖αヘリックスの部分である。 したがってHLAクラスII分子の特異的な構造が、抗原提示においてT細胞受容体がHLAクラスII分子と抗原 ペプチドの複合体に結合する際にT細胞活性化を促進させるという仮説が考えられる。
ヒト感染症で多発性関節炎がしばしば観察され、マウスではマイコプラズマ感染で本症類似の関節炎を発症し、 またパルボウイルス・EBウイルス、最近はHTLV-I・HIV-1と本症の関連性が指摘されている。
疾病の本態は発症当初は破壊性骨膜炎であるが、免疫異常による慢性炎症によって関節軟骨や骨組織が破壊され、関 節の変形と機能障害を生じる。
免疫複合体が補体を活性化し、遊走した好中球が活性酸素やリソゾームを放出して組織を傷害する。
関節炎局所に活性化T細胞(特にCD4+T細胞)が集ぞくしており、関節炎に関与していると考えられている。
破骨細胞を活性化し、骨芽細胞を抑制する。線維芽細胞のコラーゲン合成を抑制する。
主にマクロファージから産生される内因性発熱物質であり、肝細胞に働いて急性期タンパクの産生を誘導する。
滑膜の慢性炎症と増殖のために多関節の疼痛・腫脹が持続する。 また滑膜増殖によって関節軟骨・骨破壊が進行し、それに伴って関節の変形や機能障害をきたす。
早期は腫脹で発症し、晩期では拘縮による関節の変形を来たす。
手関節 MCP または PIP関節が好発部位となる。左右対称性に起きるが、初期には移動性である。 マクロ所見は こちら。
起床時の手指関節の腫脹感であり、本症に特徴的である。持続時間が活動性の指標になる。
手では主にMP,PIPが侵され、足ではMTPが侵される。遠位指節 DIP は単独では侵されにくい。
MP関節亜脱臼による、PIP過伸展とDIP屈曲をいう。
PIP屈曲にDIP過伸展となる。
手指が尺側に変位する。
特にムチランス型 mutilans type で見られる。
環軸椎脱臼は進行すると脊髄圧迫症状を呈する。
環椎が歯突起の前方に亜脱臼したもの。 環椎前弓の後縁から歯状突起前面までの距離を atlanto-dental distance(ADD)と呼び、これが2.5mm 以上では異常である。
歯突起が垂直方向に亜脱臼したもので、Ranawat値が13mm以下が異常である。
神経栄養血管の血管炎により四肢末梢の感覚低下や運動障害が生じる。
本症は進行性全身性硬化症と並んで膠原病性間質性肺炎を来たしやすい膠原病である。 なお本症と塵肺の合併を特に Caplan症候群と呼ぶ。
特に軟骨の破壊と骨のびらん像の描出に有効である。 初期に関節液の貯留と滑膜の肥厚により関節の腫脹として描出される。 次に炎症による関節周囲の骨梁の減少によって骨萎縮像が見られる。 さらに肥厚した滑膜より辺縁より骨破壊が生じ骨びらん像として映り、パンヌスによる関節軟骨が破壊 されて関節裂隙の狭小化が起こる。
初期変化として認められやすい。
滑膜と関節軟骨の境界にある関節辺縁から出現する。
パンヌスが関節腔に浸潤する。
パンヌスが骨に浸潤する。
パンヌスが癒合して関節が強直するもので、特に手根骨に著明である。
MRI所見は こちら。 膝関節における滑膜増殖が見られる。
関節液はタンパクや白血球が増加し、肉眼的に混濁する。
関節液の粘稠度が落ちているために関節液が糸を曵く。
変性IgGのFc部に反応する自己抗体で、IgMに属する。初発時には半数の症例でしか陽性にならないため診断には 有効でないが、予後推定には有効であり、高値なほど病態が進行性である。
タンニン酸あるいはホルマリン処理ヒツジ赤血球に、加熱変性イエウサギIgGを吸着させて感作血球 となし、患者血清を反応させて血球凝集価を測定する。
特にCRPが活動性とよく相関する。
滑膜組織が骨組織を破壊しながら増生する像が見られる。
増殖した滑膜組織であり、組織学的には関節軟骨辺縁に浸潤する炎症性肉芽のことを指す。
SAAの代謝不全が関係していると考えられている。
特に金製剤で治療中に発症しやすい。
原因不明であるから原因に対する治療はない。
特に関節外症状を呈する症例は絶対適応となる。
メトトレキセート MTX が現在もっとも頻用されている
金製剤の筋注は特に活動性の高い症例に奏功する。副作用に薬剤性肺炎・腎障害・骨髄障害などがある。
D-ペニシラミン、サラゾスルファピリジンなど。 効果発現まで数ヵ月を要し、造血障害や腎障害などの重篤な副作用をもたらす危険がある。
現在治験中である。
病態に関与する好中球やT細胞を除去することで病態の改善を図る。
炎症の消退を目的として、増殖した滑膜を取り除く術である。病態の進行を抑制する効果はない。
足関節や手関節において変形と動揺性があって疼痛が著しい場合に、支持性と無痛性の回復を目的として行なわ れる。
関節破壊が著しい場合に関節機能の再建を目的として行なわれる。
慢性関節リウマチに血管炎を本態とする間質性肺炎や末梢神経炎などの関節外の全身症状を示し、治療に抵抗性のも のをいう。死亡率は40%を越え、予後不良な疾患である。
厚生省による基準では、「既存の関節リウマチに血管炎をはじめとする関節外症状を認め、難治性で重篤な 臨床病態を伴う」もの。
MRAの血管病変は次の3型に分類される。
結節性多発動脈炎様のフィブリノイド壊死を示す血管炎である。
リウマトイド結節様の病変が動脈中膜に認められる。
閉塞性動脈内膜炎型で内膜肥厚による閉塞を示すが壊死はない。PAN型の器質化と考えられている。
慢性関節リウマチと同じく不明である。 血管炎の発症機序として、リウマトイド因子が免疫複合体を形成して血管壁に沈着し、血管炎を起こすことが考えら れている。
血管炎を本態として多臓器が障害される。
皮下結節をはじめ指趾・皮膚潰瘍などの血管閉塞、肺病変、多発性神経炎の頻度が高い。
RAHAテストが2560倍以上となり、病態に関与していると考えられている。
CRPは上昇するがCH50は低下する解離現象を呈することが多い。
Felty症候群との鑑別に有用である。
長期間にわたって慢性関節リウマチに罹患中に、脾腫と好中球減少を伴って発症したものをいう。 初老の女性に好発する。 好中球減少にともなって易感染性となるために慢性関節リウマチよりも予後不良である。
原因は不明だがリウマトイド因子が高力価でリウマトイド結節のある患者がなりやすい。 また慢性関節リウマチと同様にHLA-DR4が有意に陽性となる。
好中球が減少し、この点が慢性関節リウマチとの鑑別点となる。
細菌感染症を合併しやすい。
小児期に発症した慢性関節リウマチをいう。全身発症型では頻度に男女差を認めないが、ほかでは女児に頻度が高い。
発症様式からの以下のように分類される。
急激で38度以上の弛張熱 remittent となる。
発熱時に、あるいは入浴時にサーモンピンク色の丘疹様紅斑が出現することがあり、診断的意義が高い。 いわゆるケブネル現象が認められる(皮膚をこすると皮疹が増強する)。
両眼性の虹彩毛様体炎を呈する。
白血球増多や赤沈亢進を呈する。
本来小児に発症するStill病が成人に発症したもので、20〜30歳代に好発する。生命予後は比較的良好である。
特異的な所見に乏しいため、伝染性単核球症をはじめ悪性リンパ腫や膠原病(特に多発性結節性動脈炎・悪性関節リ ウマチ)などとの鑑別を要する。
高熱・関節痛・皮疹を三主徴とし、なかでも発熱と関節痛はほぼ全例で認められる。
夕刻に急激に上昇して早期に解熱する急峻型 evening spike を呈する。
発熱に伴ってサーモンピンク色のわずかに隆起した紅斑が出現し解熱とともに消退する。 非特異的症状がほとんどである本症において比較的特異性が高い所見である。 ケブネル現象が陽性となる。
特徴的な症状に欠ける本症では抗核抗体およびリウマトイド因子は原則として陰性である点が他の疾患との鑑別に有 用である。
診断的価値が高く、活動性と相関する。
難治性の合併症としてはDIC・アミロイドーシス・血球貪食症候群がある。
NSAIDsまたはステロイドパルス療法を行なう。重篤な合併症がない限り生命予後は良好であるが、しばしば再発する。
特に関節外症状を呈する症例は絶対適応となる。
メトトレキセート MTX が現在もっとも頻用されている。
金製剤の筋注は特に活動性の高い症例に奏功するが、薬剤性肺炎・腎障害・骨髄障害などの副作用を呈しうる。
慢性炎症をもたらす基礎的病態を改善する薬剤である。D-ペニシラミン、サラゾスルファピリジンなどがある。 遅効性であるため効果発現まで数ヵ月を要し、造血障害や腎障害などの重篤な副作用をもたらす危険も伴う。
現在治験中であるが、TNF-αは本症の病態に強く関与しているためこれを中和することで炎症機転を抑制する。
金製剤の筋注は特に活動性の高い症例に奏功するが、薬剤性肺炎・腎障害・骨髄障害などの副作用を呈しうる。
ペニシラミンは膠原線維の交差結合を阻害するため慢性関節リウマチの治療に用いられるほか、重金属をキレートす る作用を持つのでWilson病や鉛中毒、さらにはシスチン尿症にも利用される。
Akimichi Tatsukawa