前立腺癌は,前立腺の外腺に発生する最も頻度の高い悪性腫瘍であり、60歳以降の男性に好発し、組織学的には腺癌 である。 アンドロゲン感受性の高い外腺 peripheral zone (特に後葉)が好発部位である。
排尿障害や骨転移による腰痛を主訴とし、直腸診で診断されるが、確定診断は針生検による病理組織診で行う。
大部分が latent carcinoma として死後に発見される。
乳癌とは逆である。
骨に転移しやすい(骨形成性転移 osteoblastic metastasis)ので、骨シンチを行なって検出する。 またリンパ行性に骨盤腔に転移しやすい。
アフリカン・アメリカンと白人に多くアジア人には少ないが、日系アメリカ人の頻度は高い。
偶発癌をいう。
前立腺内に腫瘍が限局するものをいう。
前立腺被膜に浸潤するもの、被膜を越えて精嚢や膀胱に浸潤するものをいう。
臨床的に明らかな転移が認められるものをいう。
閉鎖リンパ節など所属リンパ節のみに転移が認められるものをいう。
遠隔転移が認められるものをいう。抗アンドロゲン療法が第1選択となる。
核小体は明瞭となり、腺房は密に配列し back to back を呈する。その腺管上皮は二層性を失い、一層のみになる。
腺管が不規則で互いに融合して篩状構造 cribriform pattern を呈する。
異型性が強く腺腔形成も不鮮明となり、しばしば抹消神経線維周囲への浸潤や血管侵襲を示す。
加齢にともなうアンドロゲンの分泌低下が引金になっていると考えられる。 危険因子としては
金属工業の従事者には前立腺癌が多い、特にカドミウムを扱う者に多い
初期には無症状である。排尿障害や骨転移による腰痛を主訴とする。 局所で増大してくると尿道・膀胱頚部を圧迫して排尿障害をきたし、周囲臓器に浸潤すると種々の症状が生ずる。
前立腺癌は直腸に隣接する前立腺末梢領域に好発するので、直腸内指診は極めて有効である。
PSA,PAP,γ-smなどの前立腺腫瘍マーカーは前立腺の進行に伴って血中値が上昇する。
前立腺から分泌されるタンパクであり、進行癌で血中に上昇する。 前立腺の腫瘍マーカーのうちでは最も癌との相関性が高い。
精液から抽出されたPSAと同一物質である。
正常の前立腺でもPAPが合成されるが、前立腺のマッサージを行わなければ血中に出現しない。 しかし転移巣でPAPが産生されると血中にPAPが常時出現してくる。
被膜を破って浸潤すると被膜エコー像が連続性を失なう。 被膜の連続性が保たれている前立腺肥大症との鑑別に有用である。
骨転移巣のスクリーニングにもっとも有用である。
骨形成性なので造骨性変化を来たす点が極めて特徴的である。 その硬化像は部分的に均一で高度の石灰化を呈し、大理石様と形容される。
治療は初期には前立腺全摘除術、進行したものは内分泌療法を主として実施する。 転移は主に骨および後腹膜や骨盤内リンパ節にみられる。
本腫瘍は高齢者に多く、腫瘍自体の増殖速度は決して速くないため、高分化型で小さな腫瘍に対しては経過観察も ありうる。
早期の症例が適応となる。 恥骨後式ないし会陰式前立腺全摘除術に加えて骨盤内リンパ節郭清も原則として行なう。 ただしインポテンツや尿管障害を来たすことがある。
腫瘍細胞がアンドロゲン依存性なので、進行癌に対しても奏功することがある。特に死因の大部分を占める転移巣 のコントロールに有効である。 しかし進行癌ではアンドロゲン依存性を喪失して効果が減退することがある。
両側精巣を摘出することによって精巣からのテストステロン分泌をなくす。
エストロゲンによって精巣機能を抑制する。
そもそも視床下部のGnRHが下垂体を刺激し、そこから分泌されるLHが精巣にテストステロンを分泌させる。 したがってGnRH類似物の持続的投与によって下垂体のGnRH受容体が飽和し、下垂体からのLH分泌が 抑制されるので、テストステロン分泌が抑制される。
ただし副腎アンドロゲンは抑制されない。
アンドロゲン受容体拮抗剤であり、GnRHアナローグ単体では副腎アンドロゲン分泌を抑制できないため。
Akimichi Tatsukawa