高血圧・タンパク尿・浮腫が一つ以上生じ、これが単なる妊娠偶発合併症によるものではないもの。 ただし浮腫のみでは妊娠中毒症としない。
妊娠以前には症状はなく、妊娠20週から産褥期(分娩後6週)までの期間のみに症状を呈するもの。
妊娠以前より症状があり、妊娠によって増悪を見たものをいう。 腎・血管系疾患に合併したものであり、慢性腎炎・高血圧症・甲状腺機能亢進症などが基礎疾患となる。
純粋型・混合型にかかわらず、妊娠中毒症によって生じた痙攣発作をいう。 発作性の全身痙攣・昏睡を主症状とする。
次の項目をひとつでも満したものをいう。 1) 収縮期血圧が 160[mmHg]以上もしくは拡張期血圧が 110[mmHg]以上の場合、2) 24時間尿でタンパク尿が 200[mg/dl]以上の場合、3) 浮腫が全身に及ぶ場合。
その病態の本質は全身血管の攣縮である。胎盤循環不全から胎児の発育障害や胎児仮死を来たしやすい。
何らかの原因による循環血流量の増大、血液凝固系の亢進などで血管が攣縮して高血圧を招く。 特に子宮動脈の攣縮によって胎盤機能の不全が生じる。
妊娠時は分娩時出血に備えて凝固因子が増加するが、本症では凝固系が特に亢進している。
攣縮によって毛細血管の透過性が亢進すると、血漿成分が血管外に漏出する。
本症に随伴する痙攣発作である。 妊娠中毒症純粋型の初産婦に多い。子癇発作のみで妊娠中毒症の重症型と判定する。
500[g/週]以上が初発徴候である。
血清クレアチニンは0.8mg/dl以上となる。
溶血 hemolysis, 肝臓酵素の上昇 elevated liver enzymes, 血小板減少 low platelets を要件とする。 溶血によってDICに発展する。
胎盤機能不全により胎児の循環障害を来たす。
管理のために母体尿中エストリオールや母体血中hPLが測定して胎盤機能をチェックする。
安静により循環系の負荷が軽減する。軽症の症例が適応となる。
降圧は対症療法に過ぎず、場合によっては胎盤血流低下によって胎児胎盤機能を悪化させる危険性を持っている。
中枢性交感神経抑制剤としてのα-メチルドパが利用される。 なお本症ではそもそも循環血液量が減少し、かつ血液の濃縮が病態の一翼を担っているので、利尿剤による降圧 は禁忌である。ACE阻害剤は胎児死亡や腎不全を来たすので禁忌である。
1) 重度のIUGR 2) 胎児仮死 3) 治療抵抗性で症状の増悪が見られるとき 4) 母体合併症が出現、などの場合には 治療的早産の適応となる。
純粋型・混合型にかかわらず、妊娠中毒症によって生じた痙攣発作をいう。 妊娠中毒症純粋型の初産婦に多い。子癇発作のみで妊娠中毒症の重症型と判定する。
妊娠中に子癇発作を生じたもので、もっとも予後不良である。特に妊娠末期に起こりやすい。
児の娩出後に子癇発作を生じたもの。
強直性痙攣に続いて間代性痙攣を来たす。
発作が出現したらまずバイトブロック bite block を挿入し、気管内挿管にて気道を確保し、抗痙攣薬としてジ アゼパムや硫酸マグネシウムを投与する。 全身状態が改善すれば、胎児よりも母体の治療を優先し、急速遂娩の適応となる。
溶血 hemolysis, 肝機能障害 elevated liver enzymes, 血小板減少 low platelets を要件とする 妊娠中毒症の合併症である。
胎盤や肝臓を中心とした血栓形成による微小循環障害、すなわち DIC がその病態の本質であると考えられている。
頭痛や意識障害をきたす。
診断とともに急速遂娩の適応となる。
Akimichi Tatsukawa