門脈域には多数のリンパ球の浸潤を認める。
グリソン鞘と肝実質の境界が不明瞭になる。
門脈域に接した肝細胞が壊死に陥る。
B型肝炎ウイルスが体液を介して感染し、その3〜6割が劇症肝炎になり、1割が慢性化する。 慢性化するのは宿主の免疫応答が十分でない場合であり、肝硬変を経て肝ガンへ発展することがある。
多くは出生時に産道感染してキャリアーとなる。
不完全な環状DNAをゲノムに持つDNAウイルスであり、肝細胞のDNAに組み込まれる。 そもそも肝細胞へのDNA組み込みはB型肝炎ウイルスの生活環には関係していない。
一過性感染は輸血や性交による。 持続感染は胎児の垂直感染により、そのほとんどは産道感染である。 そのため母体がキャリアーである場合で感染が確定していない新生児に対しては直ちに感染予防措置を行なう。
大部分は乳児期に感染して免疫寛容が成立して生じたものである。 免疫検査ではHBs抗原陽性、HBs抗体陰性、HBe抗原陽性、HBe抗体陰性となる。 特にIgG-HBc抗体が強陽性となり、診断に利用される。
B型肝炎ウイルスの初感染により、2ヶ月程の潜伏期ののちに肝臓を主病変として発症する全身感染症である。 肝細胞上に表出されたHBc抗原に対する細胞性免疫が組織障害の中核にあると考えられている。 HBs抗原が一過性に出現し、消失とともに治癒する。診断は主にIgM-HBc抗体の上昇でなされる。
宿主の過剰な免疫応答によって起こる。特に無症候性キャリアーからの急性発症で劇症化しやすい。
宿主の免疫応答が十分でない場合に起こり、成人の初感染ではほとんどが治癒する。 B型肝炎ウイルスの持続感染では約30年の経過で肝硬変を経て肝癌へ発展する。
感染肝細胞上に発現したHBc抗原あるいはHBs抗原をCTLが認識し、これを障害する。
したがって垂直感染による新生児はウイルスに対して免疫学的寛容を獲得し、無症状のままにキャリアとなる。
潜伏期1〜3ヶ月を経て感冒様症状で発症するが、多くは2ヶ月前後で治癒する。
ウイルス性肝炎のうちでHBVだけは抗原による診断が可能。 ただし抗体による確定診断は不可である??。 HBVマーカーのグラフは、 こちら。
膜上の抗原。B型急性肝炎では感染早期より上昇し、発症後約1〜2ヶ月で消失するので感染状態をよく反映する。
野生型HBVの増殖時に分泌されるタンパクである。 HBV増殖の指標として頻用され、高値であるほど感染力が強く、長期にわたって持続するほど肝硬変から肝癌へいたることが多い。
核抗原であり、これが宿主の肝細胞の表面に提示されると細胞性免疫が作動する。 CTLのこのHBc抗原に対する細胞障害が主な毒性となる。ただし核抗原であるため、血清中では検出できない。
初感染からの急性発症の際に上昇し、現在のHBV感染を表わすため、急性B型肝炎の確定診断に利用される。
IgM-HBc抗体に遅れて、ALT上昇とともに出現し、IgM-HBc抗体が陰性となった後も持続陽性となる。
HBs抗原が消失する頃に出現する中和抗体である。 HBV感染もしくはHBワクチンの既往を示唆し、HBワクチン摂取後もしくはHBV感染後から約3ヶ月を経て陽性となる。
HBe抗原陽性からHBe抗体陽性へと変化することを seroconversion といい、HBVキャリアでの肝炎の終息を意味する。 HBV増殖に反応して宿主の免疫応答がHBV増殖を凌駕するほどに活発化すると、HBe抗原が消失してHBe抗体のみが陽性となる seroconversion を生じる。
B型肝炎ウイルスのゲノムを検出する。
HBe抗原とともにウイルスの増殖をよく反映し、検出される回数が多いほど肝細胞癌の合併を示唆する。
HBs抗原が病因に関与しており、特に小児のB型肝炎で認められる。
激症化して死亡する場合を除いて治療せずとも全例が完全に治癒し、慢性肝炎に移行する例も極めて稀れである。 ただし慢性化すると予後不良となる。
ステロイドの免疫抑制作用によって一時的にHBV量を増加させ、薬剤投与を突然中止して免疫応答の反跳を誘発さ せることでHBVの根絶をもたらし、 seroconversionを人工的に生じさせるという戦略である。 一時的に肝炎が増悪するので肝予備能が残存している症例に限られる。
感染が疑われる新生児に対しては生後48時間以内に抗HBsヒト免疫グロブリンを投与したあと、受動免疫の効果が弱ま る生後2ヶ月頃に初回のHBワクチンを接種する。 感染が疑われる成人に対しては直ちに抗HBsヒト免疫グロブリンとHBワクチンを投与する。
抗HBs抗体高力価の製剤であり、受動免疫となる。効果は3ヶ月程度である。
HBs抗原の液剤であり、3回接種によってようやくHBs抗体が陽性に転じる(能動免疫)。
C型肝炎ウイルスが体液を介して感染する。高頻度(50%以上)に慢性化を起こし、発症後約20年を経て肝硬変、肝細胞癌へと至る。
輸血によるC型肝炎ウイルスの感染が主な原因となる。性交や産道感染では感染が成立しにくい。
プラス鎖の一本鎖RNAウイルスであり、C型肝炎ウイルスの病原体である。
HCVはウイルス量が少ないために抗原検査は困難であり、主にHCV-RNAの測定がなされる。
現在または過去の感染を示し、暴露後2ヶ月で陽性となる。
コアタンパクに対する抗体を検出する。
鋭敏な検査であるため汚染による偽陽性が起こりうる。
ウイルス性肝炎の病理所見に加えて、特に胆管の増生が見られることがある。
グリソン鞘と肝実質の境界が不明瞭になる。
門脈域に接した肝細胞が壊死に陥る。
IFN-αおよびIFN-βがB型およびC型の活動性肝炎の治療薬として用いられる。 IFNは感染細胞内においてウイルスの核酸合成およびタンパク合成を阻害する。 インターフェロンの抗ウイルス効果はDNAウイルスよりもRNAウイルスに対して有効なので、C型肝炎に より効果的である。 その効果は、肝硬変の進行度が小さいほど、またHCV-RNA量が少ないほど有効である。
副作用として抑欝が強く、症状が出現すれば直ちに投与を中断する。
肝硬変の進行した症例やHCV-RNAが多量でインターフェロン療法が期待できない症例は肝移植を考慮すべきである。
D型肝炎ウイルスはその複製にB型肝炎ウイルスの酵素を必要とする defective RNAウイルス である。 特にB型肝炎ウイルスのキャリアに重複感染した場合は慢性化する。
Akimichi Tatsukawa