痛覚の侵害受容器 nociceptor に刺激が加わることによって生じる疼痛で、有髄線維であるAδ線維あるいは 無髄線維のC線維によって伝達される。 それぞれ速く鋭い局所的な痛みと持続的で鈍い痛みを担う。
鎮痛剤が効きやすい。
有髄のAδ線維を介して、部位感の明瞭な痛みを感じる腹痛である。
交感神経の無髄C神経線維を介して伝達される。 内臓器においては、体性神経と異なり、痛みが拡散して局在性が低い。
痛覚路が遮断されることによって生じる疼痛で、鎮痛剤が効かない。
有髄のA-δ神経線維を介して、部位感の明瞭な痛みを感じる腹痛である。 脊髄視床路を介して大脳皮質に投射される。
腹部では壁側腹膜や腸間膜などから発生し、主に腹膜からの上行系に用いられるので、炎症が腹膜に波及すると生じる。
内臓器においては、体性神経と異なり、痛みが拡散して局在性が低い。 これは交感神経の無髄C線維を介して伝達される。
内臓に痛みがあると、しばしばそれが体表で痛みとして感じられる。 対応する皮膚分節(ある後根に含まれる知覚神経によって支配される皮膚の領域)に痛覚過敏が起こる。
体性と内臓の両入力が後角で同じ痛覚伝導路(脊髄視床路)に収束することによって生じる。 すなわち体性求心性線維と内臓求心性線維が同一の脊髄視床路に収束しているとする。
内臓求心性線維のインパルスは体性求心性線維を受け取る脊髄視床路ニューロンの閾値を低下させる。 その結果、体性領域からのわずかな興奮であっても痛みとして感じられる。
左右の平衡感覚のバランスが崩れて生じる、平衡感覚の異常。 内耳の前庭器官あるいは三半規管から脳幹の前庭神経核に至る末梢神経の異常により起こる。
回転感を伴わないふらふら感・浮遊感であり、主に中枢神経の異常に起因する。
内耳から前庭神経核までの障害によって生じる眩暈を指す.
内リンパ水腫による反復性眩暈。
細菌あるいはウイルス感染に続発することが多く、消化器症状を伴った強い眩暈が急激に発症する。 発作はMeniere病の経過よりも長く,1日ないし3日間程度続く. 健側に向かう眼振がみられ,聴力は正常あるいは低下,カロリックテストは正常である.
悪心を伴った眩暈がみられるが,蝸牛徴候は伴わない.カロリックテストでは患側の低反応がみられ, 迷路炎との鑑別上重要である.
突発的に出現する高度の感音性難聴に眩暈を伴うことがある.Meniere病のように反復することはな い.内耳の血管障害によると考えられる.
聴神経腫瘍は,内耳神経の前庭枝周囲のSchwann細胞から発生する.耳鳴,聴力低下,眩暈が初発症 状である.腫瘍が大きくなると脳神経の障害を生じるようになり(角膜反射の消失や顔面神経麻痺な ど),また小脳症状もみられる.
ある頭位によって1分以内の発作性の回転性眩暈が出現する.通常ある頭位をとってから眩暈が出現するまでに 一瞬の潜時があり,また同じ頭位を繰り返しとっていると眩暈の程度が軽くなっていく.
前庭神経核を含む脳幹,小脳,大脳など,中枢神経系の障害によって生じる眩暈を指す.
眩暈のほかに同側の小脳失調・構音障害・嚥下障害・対側半身の温痛覚低下・Horner症候群などを伴う。 後下小脳動脈の閉塞によるといわれてきたが、椎骨動脈の病変で起こることが多い。
椎骨脳底動脈領域の一時的な血行障害による症状をVBIという.眩暈もその症状に含まれるが,それ 以外の脳幹あるいは後頭葉の症状(視力・視野の障害,眼球運動障害,顔面知覚の低下,顔面神経麻 痺,構音障害,嚥下障害など)を伴うことが普通である.一般に血管障害では,眩暈以外の症状を伴 うことが多く,たとえ初発症状が眩暈であっても,いつまでも眩暈のみということは少ない.また内 頚動脈領域の病変で眩暈が生じることはまれである.
左鎖骨下動脈起始部の狭窄や閉塞があるとき,左上肢への血流が右椎骨動脈〜左椎骨動脈を介して流 れるためにVBI症状を引き起こすものをいう.上肢の血圧の左右差をみておくことが重要である.
出血,硬塞,腫瘍など後頭蓋窩のSOLは眩暈の原因となりうる.
聴神経腫瘍は腫瘍が小さいときは末梢性眩暈を起こし,次第に脳幹小脳を圧迫するようになると中枢 性眩暈の要素が大きくなっていく.
脳幹に脱髄が起こると眩暈を生じることがあり,末梢性眩暈との鑑別が困難なことがある.眩暈のみ ということは少ない.
側頭葉てんかんなどで眩暈を生じることがある.
内耳より始まる平衡調節機構への直接の障害によらない眩暈.次のようなものが原因となりうる. 血圧の異常、貧血,多血症、不整脈、低血糖、薬物の副作用など。
なお眼振の方向は急速相で表現される。 Despite the fact that the slow phase is the pathologic component of nystagmus and the quick phase is merely a compensatory adjustment, the quick phase is used to define the direction of nystagmus because it is more easily detected.
眼振の方向が一定したものであり、末梢神経である内耳神経あるいは前提神経の障害で、生命の危険は乏しい。
注視する方向に出現する眼振で、脳幹もしくは小脳障害があり、生命の危険が高い。
眼振の方向は注視点によって変化せずに回旋性の眼振となる。延髄などの脳幹病変に起因する。
深部感覚、すなわち振動覚や位置覚が障害されていること。特に末梢の振動覚は末梢神経障害で早期より障害される。
ほとんどが上小脳動脈による三叉神経の圧迫に起因し、瞬間的な電撃痛 tic となる。 高齢女性の三叉神経第2枝・第3枝領域に多い。
持続的な疼痛を呈し、知覚異常を伴なうこともある。
カルバマセピンなどの抗てんかん薬を使用する。
脊髄中心管付近は温痛覚を伝える外側脊髄視床路の通路になっているため両側の温痛覚が障害されるが、 後索を通る後索後索-内側毛帯路(後索系)は侵されないので深部感覚は障害されない。 したがって脊髄性失調症を来たすことはない。
両側の温痛覚が障害されるが深部感覚は障害されない。
Akimichi Tatsukawa