過剰の水分摂取により生じる低ナトリウム血症を基盤とした病態である。
腎臓の持つ最大の利尿速度は 16mL/minであり、水分摂取がこれを超えて細胞の膨化をきたした状態を水中毒とい う。 多くが精神分裂病に合併する。
詳しい原因は不明であるが、抗精神病薬の副作用とADHの持続的分泌が関係すると言われている。 抗精神病薬の長期投与によって視床下部の口渇中枢およびADH分泌細胞のドーパミン受容体感受性が亢進し、口渇と ADH促進が見られるとする仮説がある。
抗精神病薬の抗コリン作用に起因する口渇も病態形成に関与している。 向精神薬では特にカルバマセピンとリチウムの併用でADH分泌が起こることが知られている。
ADHの持続分泌によって腎臓からの水分再吸収が盛んになり、血漿浸透圧が減少する。
このときNa
の再吸収は生じないため、低ナトリウム血症となる。
120〜130mEq/Lで軽度の疲労感、120mEq/L以下で頭痛・嘔吐・精神症状、110mEq/Lに近づくと性格変化や痙攣・ 昏睡などをきたす。
浸透圧の低下により脳において細胞の膨化が生じ、神経症状を呈する。
Na
濃度が115-120mmol/L以下で出現する。
主に血中ナトリウム、BUN、尿比重で評価される。なかでも尿比重がもっとも信頼できる。
治療は水制限が主であり、薬物療法は確立されていない。
特に遊離水 free water を制限し、等張液を与える。
ただし急速にナトリウムイオンを補正すると橋中心髄鞘壊死 central pontine myelinolysis を来たす。
Akimichi Tatsukawa