画像上は肺炎を呈するも白血球増多の見られないものをいう。
マイコプラズマ・ニューモニエ mycoplasmas pneumoniae を病原体として起こる間質性肺炎で、幼児から学童期にか けての比較的若年層に多く発症する。原則として良性の経過を辿り、自然治癒する。
マイコプラズマは次のような特徴を持つ。
PPLO培地で増殖する。
ペプチドグリカン構造を持たないため、βラクタム系抗生剤が効かない。
自己増殖能を持ち細菌様であるが、中和抗体によって宿主への定着が阻止されるためウイルス様でもある。 このためマイコプラズマ肺炎では、ペア血清による抗体価測定が有効である。
また、細胞内寄生菌でないにも関わらず、間質性肺炎を生じる。
菌体の一端にあるオルガネラが気道上皮に接着すると気道上皮の線毛運動を停止させ、さらに上皮細胞を剥離さ せる。
発熱で発症し、長期にわたって乾性咳嗽が持続するが、肺炎に発展しない限りその他の一般状態は良好であることが 多い。
喀痰のグラム染色では菌自体を検出することはできないが、激しい咳嗽によって脱落した多数の線毛上皮細胞を見る。
間質性肺炎として肺門から末梢下肺野に広がる一側肺のびまん性間質性陰影を呈することが多いが、 肺胞性パターンを合併することもあり、多彩である。
血清マイコプラズマ抗体価の上昇を認め、本症の診断におけるもっとも有効な検査法である。 ただし抗体価が上昇するまでに日数がかかり、早期診断には適切ではない。
検体は喀痰や咽頭ぬぐい液が有効である。
βラクタム系抗生剤が効かないため、タンパク合成を阻害するマクロライド系やテトラサイクリン系抗菌薬を用いる。 ただしテトラサイクリン系は小児では歯牙の発育異常を来たす副作用があるため、マクロライド系が奏功しない場合 に限って利用される。
クラミジア菌はグラム陰性菌様の細胞内寄生菌である。しかしペプチドグリカンを欠くためβラクタム系が無効である。
いまだ人工的な培地には発育しない。
しかしペプチドグリカンを欠く。このためβラクタム系が無効。
Chlamydia trachomatis による子宮頚管炎を持つ母親から産道感染によって罹患した新生児に発症するク ラミジア肺炎をいう。
ヒトを宿主としてヒトからヒトへと伝播する。 症状はオウム病と比べて軽症であり、持続する乾性痰を主症状とする。症状はマイコプラズマ肺炎と類似するが高 齢者が好発層となる点が鑑別に有用である。
オウムやインコなどの鳥類の排泄物を吸入することで感染する。
クラミジアはペプチドグリカンを欠くのでβラクタム系が無効である。 したがってテトラサイクリン系あるいはマクロライド系抗生物質が第1選択薬であり,一部のニューキノロン系薬も 有効である.
chlamydia psittaciの感染症であり、オウムやインコなどの鳥類の排泄物を吸入することで経気道感染する。
症状は悪寒・発熱・頭痛などであり、インフルエンザや異型肺炎あるいは細菌性髄膜炎との区別が困難である。 病歴で鳥類との接触の有無が診断に重要である。
細胞内寄生菌であるので白血球増加はあまり見られない。
スリガラス様陰影もしくは斑状網状影を呈する。
テトラサイクリンが第1選択薬である。
レジオネラ属を起炎菌とする肺炎であり、市中と院内を問わずに見られ、劇症の経過をとる。
なおレジオネラはグラム陰性桿菌であるがグラム染色は困難であり、細胞内寄生菌であるのでβラクタム系は無効で ある。
レジオネラ菌は温泉や冷房器具などの湿気の多い場所を好み、水滴に潜んで経気道的に飛沫感染する。 喫煙・慢性肺疾患・免疫抑制剤などが危険因子となる。
マクロファージ内で増殖する細胞内寄生菌である。通常のグラム染色で染色されず培養も B-CYE培地を 要するなどの特徴を有する。
咳嗽などの呼吸器症状をはじめとして、下痢などの消化器症状を呈する。
悪心・嘔吐・意識障害などを呈する。
スリガラス状の間質性陰影と気管支透亮像を伴なう肺胞性陰影が混在し、しばしば胸水貯留も見られる。
尿中からの抗原検出は比較的安価で、特異度も100%近い。
B-CYE培地で培養し、ヒメネス染色 gimenez stain で染色する。通常より長く3日ほどかかる。
ただし抗体上昇までに数週間を要し、感度も決して高くないため臨床上有意義ではない。
稀に横紋筋融解症によって急性腎不全に発展することがあり、予後不良となる。
マクロライド系のエリスロマイシンやリファンピシンなどの細胞内移行性の抗生剤を投与する。 けだしレジオネラはマクロファージ内に寄生するため、宿主細胞内に移行する必要があるから。
致死率は低くなく、かつ診断までに時間を要するため、本症を疑ったならば即座に治療を開始すべきである。
Akimichi Tatsukawa